高松高等裁判所 昭和29年(う)22号 判決
所論原判決認定の第二、第三の事実中の各判示覚せい剤が判示第一事実中の被告人が中村ちどりから譲受けたものの一部であつても本件記録に依つて明かなように被告人に右譲受後その一部を売捌き、一部を転売の目的で自宅に隠匿し、他を原判示矢野浪三郎方に預け、その間相当日時も経過しその所持の態容も変つているのであるから右譲受行為の外になお所持罪が成立することは覚せい剤取締法がその譲受行為の外特に所持そのものを禁じている法意からも明かである。
従つて原判示被告人の本件所持をその譲受行為の一部としてこれを包括一罪と見ることはできない、なお又所持罪について罪数が一個であるか、数個であるかは専らその所持の態容と一般社会通念を基礎として考えるべきであるが本件被告人は原判決認定のように原判決日時頃その一部を自宅に隠匿し、別にその頃前記矢野浪三郎方に預けて各別にこれを所持していたものと認めれら従つて夫々につきこれが所持罪が成立すると解するのが相当であるから原審が譲受け行為の外その後の所持につき二個の所持罪を認定しこれを前記譲受行為と共に併合罪として処断したのは正当であつて原判決には何等所論のような違法はない。